世界経済に新型コロナの猛威、「大恐慌」との共通点

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不況はしばしば、経済活動のわずかな落ち込みから始まる。その後にもう少し大きな第2波が押し寄せ、数カ月かけて状況は徐々に悪化していく。

ところが、現在の景気循環の下降曲面は大きく異なる。大規模な波が一気に押し寄せてきたという点で、第2次世界大戦以降、類を見ない。

新型コロナウイルスの感染拡大、それに伴う運輸や企業活動の停止による初期のショックは、大規模かつ突然だった。

現在の景気後退の規模が分かる公式の統計はまだないが、代わりに石油産業の状況をみると、ここ1カ月の需要は1日約1000万バレル、10%のペースで減少したようだ。

経済システムが受けた今回の第1波の衝撃は、ビジネスや消費支出に第2、第3の波が来るのを待たずとも巨大だ。第2次世界大戦が終わった1945年、戦時から平時の生産体制転換に伴い、工業生産は12カ月間で30─35%減少した。

連邦準備理事会(FRB)のデータによると、1974─75年のオイルショックによる不況時、米国の鉱工業生産はおよお20カ月で約15%減少した。金融危機が襲った2008─09年には景気後退前のピークから20%ほど低下し、約18カ月間にわたって落ち込みが続いた。

上記の減少幅と期間は、厳密な数字ではない。工業生産の山と谷は、他の要因も考慮に入れる公式の景気循環とは一致しないためだ。

それでも、足元の景気後退は1945年以降で最も急だと簡単に証明できる。その規模と突然の始まり方は、1930年代の「大恐慌」、あるいは19世紀後半と20世紀初めの暴力的な「大不況」のようだ。

<景気後退と感染拡大の類似点>

景気後退は、小さな揺れから始まるという点が感染症の拡大と似ている。1人が感染、あるいは1企業/セクターが破綻し、システムの残りの部分に指数関数的に伝播する。経済学者は近年、免疫学を参考に、銀行や企業の破綻がどう連鎖して経済全体に広がっていくかを理解しようと試みている。

最初の感染や最初の倒産は、ささいなものに過ぎない。互いをつなぐネットワークにより伝播することで、単体の問題を大流行あるいは不況に変える。経済の場合、景気後退は支出と収入の流れの変化、つまり販売、注文、雇用、賃金、債務返済を通じて伝達していく。

しかし、個人や企業が近い将来の動向や決定についての見解を変えることにより、この伝達スピードが加速する可能性がある。経済学者のケインズが「アニマルスピリット」、ロバート・シラーが「ナラティブ(物語)」と呼ぶものだ。

どの言い方にせよ、物語は自己達成的になることで、景気を後退あるいは拡大するエネルギーを増幅、加速させる力を持つ。

ほとんどの場合、感染症または不況の最終的な規模を決定するのはネットワークの形状と構造、そして衝撃を受けた際の振る舞いにあり、そもそもの揺れの規模ではない。

過去、最初の大きな衝撃が不況につながらなかったケースもある。逆に小さな衝撃が、単体で起きたものであれ複数が組み合わさったものであれ、経済を大きく落ち込ませることがある。

株価暴落、不動産バブル、銀行倒産、信用収縮、凶作、原油価格の急変、政策の失敗。いずれも単体、あるいは組み合わせで不況の要因とされてきた。

やっかいなことに、同じ問題が不況につながらないことあり、これが高度にネットワーク化した経済のモデル化や予測を困難にしている。景気後退の原因と、最終的な規模と長さの間に明快な比例関係がないことが、景気循環のモデル化と予測を難しくしている要因だ。

ほとんどの場合、賃金、投資、信認、貸出に対する第2波、第3波が不況の長さと大きさ決定する重要な要因だ。ネットワークの結びつきが強ければ強いほど、より大きなレバレッジが効き、衝撃を吸収する力は小さく、最初の揺れが全体に連鎖していきやすい。

<求められる素早く広範な政策>

今回、各国の中央銀行と財政当局は、記録的なスピードで対策を打ち出している。これは第2、第3の波の衝撃を和らげ、危機が悪化するのを防ぐ効果があるかもしれない。隔離が人から人への感染を低下または防ぐように、財政・金融政策は経済に対する第2波の影響を低減させる。

政策対応の狙いは、経済全般に金融の相互依存を低下させ、衝撃吸収装置を作り、破綻の連鎖を防ぐことだ。感染症の拡大抑制を目指す保健・衛生政策と同様、財政・金融対応もより素早く、より包括的であればあるほど、景気後退に陥る可能性を低下させることができる。

新型コロナウイルスの感染拡大を阻止するために導入された取り組みは、過去1世紀近くも前例がない経済活動の停止という事態につながっている。各国の中央銀行と政府は、企業活動や人と物の往来が再開されるまで、同じく前例のない手段で経済を支える必要がある。

Google、COVID-19情報サイトを公開。

Googleは、COVID-19に関する感染予防に関する知識や全世界の感染状況を可視化するサイトを公開した。

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